これが河童淵だ!
河童淵と呼ばれていたところが、正確にどこなのかはわかりませんが、いかにも河童が住んでいそうな淵が、 この桐生川には、随所にあります。
河童@わ~るど 河童名所探訪 桐生川の河童伝説より引用
桐生わたらせ電子旅は先輩方の残してくれた情報などを手掛かりに河童淵の場所を探して特定してみようと思います。
桐生の中心部を縦断している本町通りをどんどん北に向かうと桐生の奥座敷、梅田の山あいに入ります。
トンネルを抜けると雪の屋の向こうに桐生川ダムが見えます。
更に川沿いを道なりに進むと、梅田ふるさとセンターに差し掛かります。
民話の舞台は津久原(現在の梅田5丁目)となっていますので、桐生川ダムよりも更に上流であることがわかります。
桐生川上流に河童が住めそうな水深のある淵は限られます。
現在の津久原橋の所に河童神社があることを考えて、河童淵があると思われる場所は、更に上流の梅田ふるさとセンター以北に絞って探すことにします。
梅田ふるさとセンターから500m くらい上流に行ったところで淵と滝を発見しました。
すわ河童淵か?と思いきや、ここは千代が渕という場所でした。
滝は千代の滝と言い、これらの名前の由来は、周辺を荒らし回った山賊から村人を救っ千代と言う女性が足を滑らせ、渕へ落ちて亡くなったことからくるそうです。
更に上流に上っていくと、橋を渡ってそれまで道路の右側だった川が左側になってほどなく、次の淵を発見。
これは蛇留淵と言って、かつて三鏡山に住み、里に下りて田畑を荒らした白大蛇を三鏡坊が法力でおびき出し、この淵に閉じ込めたという民話が残っています。
岩の間を流れる川の水を大蛇に見立ててこの名がついたと言われています。
更に上流に津久原橋という橋があります。
1枚目の写真に写っている右側の赤いコーンの所に階段があり、ここを降りた河原に河童神社があります。
神社と言っても岩の間に河童のご神体が置かれているだけです。
また、ここは男体山の天狗と妙技山の天狗がと根本山の天狗が大きな石を投げて力比べをしたという民話が残っている場所でもあります。
橋を渡ってすぐのところに、長谷寺(ちょうこくじ)というお寺がありました。
この先は細い林道になりますが、付近にそれらしい淵は見当たらず「落石注意」の看板もあるのでこの辺で一旦引き返しました。
しかしこの数日後河童淵に関する有力情報が見つかりましたので、再びこの先の探索に挑戦しました。
手前の空き地は旧梅田北小学校(梅北山の家)跡地です
このあたりから道幅が狭くなり、鬱蒼とした林道が見えます
落石注意の標識が時たま表示されているので、やや緊張を誘います
もとの梅北山の家の脇を更に少し先に行くと、桐生川上に「夢の萩橋」という細い橋が架かっているのが見られる。その橋の上流に見える淵が伝説の地「河童淵」である。かっては、見るからにものの怪が住んでいそうな淵だったそうだが、今はかなり日光も差し込んで明るくなっている。しかし、さすがに河童伝説の地という面影だけは残している。
上の文によると、河童淵は夢の萩橋の上流とのことですので、夢の萩橋をグーグルマップで探しましたがありませんでした。
しかし以前のヤフーの地図が検索にかかり、場所を示していましたのでこれを頼りに尋ねることにしました。
この地図よると、前回引き返した津久原橋を越えたお寺(長国寺)の少し先のあたりにあるらしいことがわかりました。
ヤフーの情報 「夢の萩橋」
前回引き返したところから先へ行くと、細く薄暗い林の間の道を通り抜けた場所に橋らしき物が見つかりました。
想像していたよりも細く、今人が渡るために使われているのかどうかも微妙で、ヤフー情報より長谷寺からの距離もありましが、他に橋らしきものは見つかりませんでしたので、とりあえずここから歩いてみます。
100mくらい歩くと、淵と言えそうな場所がありました。
川までの間は藪が生い茂って確認しにくかったのですが、水深がありそうな場所が木々の間から見えます。
淵のような場所が断続的にあるので、ここが伝説の河童淵ではないだろうか?
決定的ではありませんが、ここが一番それらしかったので、とりあえず結論を出して帰路につきました。
YahooMapを見たら、調べた場所よりもう少し上流に「池」のような場所がありそうなことがわかりました。
盆休みを使って行ってみたのですが、涼を取る人の車が道路端に並んでいて確かめることができませんでした。
翌日早朝に行って再度確かめたところ、「謎の池」の正体は旧砂防ダムだったので、河童淵ではありませんでした。
しかしここで思わぬ発見があったのです!
前回橋らしきもの見つかった場所よりももっと手前に、1人が渡れる程度の赤い橋が見つかりました。
長谷寺を過ぎたばかりの林道に差し掛かって間もない場所で、道路と川の間の木や藪で見逃していたのです。
前回見つけた橋よりもかなり手前で、ヤフーの地図ともほぼ位置が一致しますので、これが夢の萩橋に間違いないと思われます。
となると河童淵も前回の場所ではなく、もっと手前の、この橋に近い所にありそうです。
橋の所から上流に目をやると、なんと淵らしき場所があるではありませんか。
道路側ではなく、反対岸からでないとはっきりと確認できなそうでしたので、向こう岸に行ってみました。
*この橋は老朽化しているので現在使われていない感じです。
橋のすぐ上流に岩に囲まれて水深も深く、いかにも河童が住んでいそうな深い淵を見つけましたので、撮って来た写真をお見せします。
場所も文献とほぼ一致しますので、恐らくここで間違いないのではないかと確信しました。
よって本サイトではここを河童淵と特定、探索を終了します。
岩場に挟まれた谷になっており、道路からは川が崖の下になって死角になっていました。対岸に渡って崖の上からの撮影です。
1枚目の写真に写っている木のところまで行って撮りたかったのですが、斜面で下が濡れていて滑ることもあり、これ以上近づくのは危険と判断しました。
ガードレールをまたいで、今にも崩れそうな崖の上から一部を確認することができました。
河童淵の場所が地図から埋もれている理由が分かったような気がします。
また、この探索中にこの近辺に住んでいると思われる生き物に出会いました。
トンボや最近ではめったに見かけないアオスジアゲハに遭遇しましたが、こういった人里離れた山奥では路上にいた猫でさえ、プレミア感があります。
更に桐生川ダムまで下ると、ダム湖の上ではトンビが飛んでいました。
探索を終えて感じたのは、桐生川上流は自然と伝説の宝庫だということです。
所々車を降りて歩くことで様々な発見がありました。
何処までも続く清流の周辺には雨上がりの山に霧が立ち込め、見るからに涼しくオゾンが多そうな空気を吸うだけでも元気になりそうです。
特に夏は一度来ると何度も来たくなる場所と言えるでしょう。
*これで探索を終了する予定でしたが、振り返ってみて今回該当する場所が本当に河童淵であると断定するのは若干早いような気もします。
その理由は
1.撮影した時は雨がたくさん降った後で、いわゆる「水増し」状態だった。
2.崖の淵に近寄れなかったため、全容を確認できたわけでは無い。
3.資料等の「裏付け」という点でも「KAICのサイトで表記されていた場所と近い」というだけでは少し弱い。
そこで再度の探索をするかどうかを迷っていたところ、私を再び梅田に突き動かす出来事が起こりました。
次は完全決着編「梅田最深部を探索」です。